ゴリラの檻まで1マイル

少し，昔話をしましょうか．

昔々，そう，まだメガバスがブイブイ言わせていた古き良き時代，私が高校に入って間もない頃のお話です．

あれはセミの鳴き声が響く暑い日，野池巡りをしていたときのことです．
２０００年，バス釣りブームは去ったものの，私は毎週のように野池に出撃してバスを釣ってました．
私の地元はそれほど数は多くないですが，バスが釣れる野池に恵まれそれなりに充実したバス釣りライフを楽しんでました．

この日は友人と少し遠出をして，大物を狙える野池に出撃．
実家の近くの野池は数こそ釣れるものの野池のサイズそのものが小さいので，４０ｃｍオーバーのバスは滅多に釣れませんでした．
しかし，ここは水深も深く大型のため池で，過去に６０ｃｍ近いサイズも上がっている実績のある野池．
朝からレッドペッパーJrで小バスをいじめて，大物狙って目をぎらつかせていました．
右手に持つタックル，ロッドは永遠の初心者の味方SUZUMI，そしてリールは世界のSHIMANOのフラッグシップモデル９８ステラ！

そうなんです，実は私，昔はステラオーナーだったんです．
高校に入って初めてのバイト代，研修の分も含めていつもの１．５倍の給料の全てをつぎ込んで，小さい頃から憧れだったステラを，あの全釣り人の憧れのステラをGETしたんですよ！
ロッドがSUZUMIでも気にしない！
何たって私はステラオーナーでしたからね．
ステラオーナーはそんな小さいことは気にかけないのです，ええ．

この日はステラを購入してから３度目の釣行．
ステラ様にふさわしい獲物を仕留めようと意気揚々と出撃した訳ですよ．

で，真昼のクソ暑い時間帯，野池のすぐ傍の道路にステラ様タックルを置いて，なんちゃって安物ベイトでラバージグで立ち木撃ちをしていたときのことです．
何故，私は不用意に御ステラ様を道路なんぞに放り出していたのか，何故，御ステラ様で釣りに来たのに合計５０００円の安物タックルを使ったのか，今思い出しても悔やまれます．
いくら車通りがほとんどない山道とはいえ，道路は道路なのです．
そんなところに，ステラ様を置いておくという愚行の極み．
その報いはあの，悪魔，じゃなくてトラックと共にやってきました．

『ガキャッ』という嫌な音とともに通り過ぎるトラック．
もうね，一瞬何が起きたか分かりませんでした．
いや，正確に言うと完全に理解してたけど，頭がそれを拒むんですよ．
一瞬，じゃなくて１分くらい心臓バクバクで時止まってました．
何が起きたのかを見に行くのが，怖くて動けません．

恐る恐る御ステラ様を置いた場所に戻ったら，予想通り，見るも無残なステラ様の姿がそこに・・・・・・．
もうね，修理可能とかそういうレベルじゃないんですよ．
ボディから無理．ベールとかリールの形してませんでした．
友人曰く，ステラだったモノを持ち，プルプル震えながら駆け寄る私は，
『中学時代，肉の壁と恐れられたDFのお前が，あそこまで小さく見えるとは・・・・夏なのにくちびる青かったわ』とのこと．

御ステラ様を購入した店に持ち込むも，
『ああ～，これは無理だわ～』という悲痛な通告．
私のステラオーナー歴はわずか２週間で幕を閉じたのです．




そして時は戻って２００７年．

一昨日のイブの釣行で，とあるお方からクリスマス兼誕生日プレゼントとして０４ステラを頂きました．

いや，今でも自分で何を言っているか分かりません．
こうしてペチペチ文字を打ち込んでいまでも，玄関を突破して『はい，ドッキリでしたー！』とプラカードを持って乱入されるのではと超疑心暗鬼．
あれ以来，毎晩寝る前はステラ様を巻きながら，夢ではないかとほっぺをつねっている次第です．
正直，恐縮すぎて今でもガクガクブルブルですが，大切に使わせていただきます！本当に，本当にありがとうございました！
もう西に足を向けて寝ません！向こう１５年間使います！



という訳で，思いがけずも７年ぶりにステラオーナーになりました．
今でも夢のようですが，とにもかくにも御ステラ様が我が軍に加わってくれたということで，明日，早速嵐山に出撃します．
天気予報は雨ですが，そんなことは何ら問題ではありません．
御ステラ様が配備されたのに年が明けるのを座して待てと？
否！たとえ雨が降ろうと雪が降ろうと行かねばならぬのです！ステラオーナーとして！

前回の釣行はね，多くを望んだ無欲の釣行ではありませんでしたがね，今度は違います！
目標は嵐山の鱒族を根絶やしにしたるでぇ！（ステラオーナー的に）